クリープする活断層
カリフォルニア州
ホリスター
Update 2004.2/7
なぜホリスターなのか?
「それは安全な活断層があるからです」
活断層はなぜ危険なのか? 詳しくは「講義に便利の第2章」に出ていますが、それは巨大地震を今後も繰返して起こすからですね。が、しかしアメリカ西海岸カリフォルニア州のホリスター(Hollister)には安全な活断層が存在します。カリフォルニア州にはかの有名なサンアンドレアス断層があります。ホリスターの街に見られるのもこの断層系の一つなのですが、サンアンドレアス断層系全体が安全なわけじゃーありません。それが何より証拠には、サンフランシスコ周辺やロスアンゼルス周辺では、度々大規模な地震災害を引き起こしています。しかしその一部には地震を起こさない安全な断層がいるのです。
それはかの有名なクリープする断層なのです!!! ずるずるずるずる動き続けて決定的な巨大地震は起こさないのです。フツーの地震断層は、もちろん地震を起こします。普段は停止していて、なんら問題がなさそーなのに、ある日突然牙を剥いて、断層直上の生活を完膚なきまでに叩きのめすのです。でも、こいつは普段からずるずる動いて、ドアの立て付けを悪くしたり、窓の締まりずらしてすきま風を入れたり、床を傾けたり、水道を漏れさせたり、いらんことをしますが、決定的な悪さはしません。
アクセス
サンタクルズからだと156号線を通るので、こんな田舎道を走ります。周囲はカリフォルニアワインのブドウ畑でしょうか? 道は山に入るともっと細くなります。さっきまでのハイウェイと比べて心細くなりますが、まあ気にせずに。 |
所々にホリスターへの看板が出ますので、安心してドライブしましょう。きれいな並木が見えてきて、そして住宅街に。 |
サンフランシスコから
サンフランシスコ空港からでしたら空港でレンタカーを借りたら、空港に接続しているフリーウェイ101号線を南下します。つまりサンフランシスコの中心とは反対方向のサンノゼ(San Jose)方向へですね。で、サンノゼの渋滞にめげずにシリコンバレーを通過して、びゅんびゅん走ります。と、そのうち129号線と交わります(モントレー、サンタクルズ、ワトソンビルに行く道)、そしたらほんの数マイルで156号線と交差します。ここで101号線を出ます。ホリスター、サンジュアンバチスタ(San
Juan Bautista)の看板に従って走ります。156号線を東にどんどん走ると、信号が現れます。高速なのに! と、思ってしまいます。ここがサンジュアンバチスタの街です。ここにもサンアンドレアス断層の断層崖があります。今入ってきた道の一本右側の道沿いのMission St. 沿いの教会が目的地です。近くに路駐しますが、赤い縁石は駐禁なので注意しましょう。教会の庭の一番奥にサンアンドレアス断層の記念碑があって、地震計もあったそうです。で、目の前の崖が断層崖です。
サンタクルズから
ちなみに「巡検に便利第1回」にあるサンタクルズから行くなら、まず1号線を南下してワトソンビル(Watsonville)
直前で129号線と交差するので、そこを東に行きます。最初はワインブドウ畑の中を走りますが、徐々に道路が細くなります。不安に思うかもしれませんが、まあ気にせずにどんどん走ります。そーすると101号線と交差するので、あとは一緒です。101号線を南に行きますが直ぐに156号線に出るので右レーンを走っておきましょう。
で、話はそれましたが、さっきのサンジュアンバチスタの街を出て156号線をまだ走るとホリスターの街の看板が出ますので、右へ出ましょう。
まあ、ここまでサンフランシスコ空港からならざっと2時間半くらいでしょうか。サンタクルズからでもざっと2時間弱くらいでしょう。クリープする街並で、だんだんホリスターの街が近付いてきて、並木通りになったらゆっくり走りましょう。交差する道の名前に注意して、College St.やPorwell St. で左折します。キキキーッ と。
街中の断層通り
ここが6th st の断層です。ほら、歩道ががグッてずれているでしょ。手前が左に向こうが右に。はい。右ずれですね。 |
逆方向から見るとこんな感じです。 |
道路には雁行状の割れ目ができています。やっぱこれも右横ずれですね。 |
肝心要の断層は、6th St.とPowell St.との交差付近です。6th St.に公園があって、そこの前の歩道がずれているのがわかることでしょう。で、ちゃーんとこれが右横ずれをなしています。地球儀サイズでも描ける、あのサンアンドレアス断層が(一部だけどね)これです。え、「かのサンアンドレアス断層がこんなにしょぼいのーっっ」ですって?! ってゆーか、これはサンアンドレアス断層系の一つのCalaveras断層だし、断層露頭っていうのは素人受けしないものも多いものだそーです。
でも、こんな歩道を切るてーどの小さなスケールでもバッチリ右横ずれです。アスファルトの表面にも雁行配列の亀裂やプルアパート状の開口が見られます。6th st.の産状をよーく見たら次は5th st.に行って、その延長を見てみましょう。こっちは歩道の補修が進んでいて、やや分かりにくいかもしれません。でもよく見ると、歩道はゆがんでいるし、とても新しそうなセメントすら割れています。ごく最近も動いているのでしょうか。で、家の真下を通っている場合は、このように家が歪んでしまいます。わかりますか? ビミョーに柱と壁が直角じゃーないでしょう。ドアを開けたことはありませんが、きっと開け閉めが大変なことでしょう。でも、これがフツーの地震断層だったら、この家は断層活動によって、コッパミジンにぶっとんでしまうんでしょうね。なーんて。こんな事、この家の方には言えませんね。英語じゃ書けないな。このサイト。。。 なーんて。地元の人はみんな詳しいでしょう。
6th st の公園です。断層の部分は段差ができています。でも右横ずれを示すものは、今一つ見つかりませんなあ。 | で、ぐるっと歩いて5th st に回って断層の延長を見てみましょう。断層は家の下をくぐって歩道に亀裂をつくっています。亀裂はセメントを塗って補修してあるけど、それもまた壊されてます。うーん、刻一刻と動いているって感じですねっ。 |
断層たんぽぽ。 | この家の真下を断層は通ってます。良く見るとこの家は歪んでいますね。これがフツーの地震断層だったらこの家は完膚なきまでにたためのめされてしまったとでしょう。この家に住んで日々、地球のダイナミクスを感じてみたいです(単にドアや窓の立て付けが悪くなっていくだけだが)。 |
旅の宿
ホリスターとサンジュアンバチスタの巡検は、半日コースで十分なので、サンタクルズやモントレー、サンノゼ、サンフランシスコに宿を取って、ほかのコースと一緒にしたほうがお勧めです。一晩ホリスターに留まってクリープを体感するのもいいかも知れませんが。
ホリスターのキャルベラス断層のクリープと露頭に関しては下記の論文が詳しいです。
Thomas H. Rogers and Robert D. Nason (1971), Active displacement on the Calveras fault zone at Hollister, California. Bulletin of the Seismological Society of America, 61, 399-416.