室戸市黒耳の乱雑堆積物と行当(ぎょうど)のサンドダイク 高知県室戸市

Update 2003.3/8

 

ちょー楽なアクセス

 道の駅なら広い駐車場があります。黒耳の公民館や行当の漁港にも駐車できなくもないけど、住民の方のご迷惑にならないようにしましょう。
 上図左の黒耳の公民館っていうのは、この赤い屋根の建物です。道の駅の標識のそば。ここから海岸に出るとぐちゃぐちゃ露頭です
上の図右の行当の漁港っていうのは、こんな場所です。室戸岬が一望できるので、こんな看板と公衆便所があります。車も数台なら停めれますが、遠慮気味に使わせてもらいましょう。

 高知市より国道56号線を室戸岬目指してどんどん南下し、安芸市を通りすぎて、羽根岬も通過して、まだドライブすると、だんだん道沿いの家も減ってきて寂しくなってきます。眠くなったり飛ばしたくなったりしますが、左手の海岸段丘が見事に発達してくると、もう行当(ぎょうど)岬が近いので速度をゆるめましょう。国道沿いの「道の駅キラメッセ」のちょっと手前に朱色の屋根の公民館があるので、その辺に駐車させてもらいます。バス停でいうと黒耳という場所です。旧道との別れ道が目印になります。公民館のすぐ脇の階段から海岸に出ると、そこには室戸層の乱雑相の露頭が広がっています。

 

め、めらんじゅだ

いやあ、ここまでぐちゃぐちゃなのは珍しいですね。あっちこっち向いてますね。
 ほらちょっと注入してるでしょ。

 さて、露頭のメランジュぶりたるや、ほかのメランジュとはちょっとツラツキが違います。とにかく砂岩レンズの配列に方向性がありません。まさにメラーンジュ(フランス語風)。

 褶曲の冠部のみが引き伸ばされたりもしているのですが、それぞれあっちこっちを向いていて何か一定の規則性は見い出されません。ほかのメランジュであれば、もっときれいに配列しているものです。本当にわけがわからない!という印象を受けますし、室戸層はデブリフロー堆積物だと言われれば、なるほど!と納得してしまいます。

 砂岩のレンズと基質との境界は一般にシャープで、泥質岩の注入などはあまりありません。混在化したときに基質とブロックとの間の固結度(もしくは粘性度)が大きく違っていたのでしょうか? もう少しアップで見てみましょう。

 一部に黒色の泥質岩が砂岩ブロックに注入していますが、佐賀町の乱雑堆積物とは比べ物にならない程度です。間隙水圧うんぬん言うほどの物ではないでしょうが、まあブロックも混在化したときは、未固結であったとは言えるでしょう。

 

どーやってできた?

 さて、この写真を見てすでにお気づきでしょうが、基質の黒色泥岩はずいぶん淘汰が悪く、砕屑岩粒子がたくさん含まれています。そしてフォリエーションがほとんど発達してません。この2点も普通のメランジュとは違う点です。もっともフォリエーションが発達していないのは、淘汰が悪いせいかもしれませんが、、、、。 それにしてもここまで淘汰が悪いということは、かき混ぜられるやいなや、ほとんど運搬されること無く堆積したということでしょう。当然ダイアピルの可能性も考えられなくもありませんが、泥質岩の岩脈や砂岩ブロックへの注入がほとんど見られないので、やはりデブリフローの可能性が高いのかもしれません。

きれいなスレートもあるよ

ほらよく見ると黒色頁岩層に斜めの線が、

 室戸層は、どこもかしこもこんな乱雑堆積物かと言えば、そうではありません。ちょっと歩いていくとすぐに、きれいな砂岩泥岩互層に出会えます。歩くのがめんどくさい人はキラメッセまで車で移動してください。駐車場の裏から見事な砂岩泥岩互層が見れます。「な〜んだただの互層かあ」などと不遜なことを言ってはいけません。ここの砂岩泥岩互層には、地層と斜交してスレーティ劈開がきれいに発達しています。ちゃんと写真をとっておきましょう。必ずやゼミや授業で使えることでしょう。

 

見所!サンドダイク〜

 もう一つ、室戸層のトピックスは砕屑岩脈がひじょうに多いということです。泥質岩ではなく、砂質の岩脈が数多く地層を貫います。砂質層の液状化といえば、表層付近の地震動による噴砂現象が頭に思い浮かびます。また、興味深いことに砂質岩の砕屑岩脈は、先程の混在岩相も切っているのです。砂質岩と泥質岩の混在化や砂質岩の貫入などの変形は全て表層付近の浅い深度で形成されたのでは? という気がしてきます。どれくらいの深さまで沈み込んだのでしょうか。 え?!形成深度を見積もるのは、うちの研究室の仕事ですって?

そりゃそうですねえ。しばらくお待ちください。

 画面中央で、他の砂泥互層と斜交する地層がダイクですね。でっけー
 

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