地震と活断層(14):強ければそれでいいのか?
update 2004.2/29
テレビで見る弾性反発理論
あーよくテレビで見ますね。プレートがどんどん沈み込んで、陸側のプレートが歪んで、最後には反発するって奴ですね。これで地震は繰返すって説明です。 |
強ければそれでいいのか? 力さえあればいいのか? 伊達直人!ってタイガーマスクなんて知らんか、、
地震のニュースがあるたびに出てきますね。プレート沈み込みと、それに引きづられて沈む陸地。そしてばばばーんと反発して陸地は元に跳ね戻り、この時に地震が起きるんですよおっていう、分かりやすい説明。これがいわゆる弾性反発理論って奴です。もともとはアメリカ西海岸のサンアンドレアス断層でつくられたモデルで、地震の時に、断層を挟んだすぐ近くの2点はズルッて大きく動いたのに、離れた2点は動かなかった。っていうか離れるにつれて変位量が小さかった。でも、別に断層付近だけが動くんじゃなくて、長い期間を見てみると、遠い2点は実は地震の無い間もこんこんと動いていたんですって。断層を挟んですぐ近くは、要は取り残されて、動かずにいて、地震とともに一気に遅れを取り戻すという一夜漬けヤローだったってわけなんだそうです。
いや、そんな話でなくて、断層はまるで弾性体として振る舞って、繰返し発生するってことなんですね。それとこれまでの破壊力学はどーつながるのかってことですがね。すべりなんかぁ
というわけでがんばって破壊力学も習ったし、岩石破壊試験の話も聞いてきました。前回出てきたバヤリーの法則は、簡単に言うと、いろんな石があるけれど、深くなるにつれて強くなる度合いはどれも一緒。、、、それって地下深部での岩石の強さはどの岩も一緒ってこと?! う〜ん。そーいうことですね。しかも深くなるにつれて強くなるってのは、クーロンの破壊基準そのまんまじゃん。試験機を使ってクーロンの破壊基準を測ったってこと?
その前に習ったモールの応力円はどうーでしたでしょうか。ええっとぉ。応力がずーっとかかり続けて歪みがたまって(差応力が大きくなって(モール円が大きくなって))、クーロンの破壊基準に達すると破壊しますって話でしたね。
内陸の横ずれ断層で言えば、断層から遠い2点は長いことかかって、すでにじわーっと移動しているけど、断層に近い2点はずれているように見えない(岩盤が弾性的に歪んでいるから)。ところがギッチョン、地震の時には断層が破壊して動くので、近い2点は一気に移動する、が、今度は遠い2点は動かない。すでに動いていたからね。つまり岩盤は弾性体として振る舞うんだぁぁぁぁぁぁ〜 |
でも、破壊した岩石がどーやって再び地震を起こすのでしょうか?っていうのは、物はフツー壊れると弱くなるからです。あったりまえのこんこんちきですね。車を買う時に「これ安すぎない。 事故車じゃないのぉ??」って会話があるでしょ。じゃ、何が問題なのですか? 事故車を強引に修理した車は、何がいけないのかって言えば、弱いからですよね。一度破壊したら元の強度より落ちるからです。(一部の輸入車のように特に高価な車でなければ強引な修理をしてもペイしないんじゃないかな。学生の買うクラスの車で、安いのは単に安物なんだと思うが、、)
つまり破壊する、断層ならすべることで弱くなるってことを「すべり軟化」と言います。硬かった岩石がすべった結果弱くなる。これは地震を繰返し起こすことができません。それっきりそれっきりですから。立ち直れません。
固着すべり
ブロックスライダーモデルと言うのがあります。オモリとソリとバネと糸巻きでできていて、糸を巻くとバネが伸びて、限界に達するとソリがびゅんっってすべります。で、また糸は巻かれ続けてバネが伸びて行きます。繰返し、停止(固着)と急なスリップを起こします。これだ!これは地震を起こす断層と同じパターンだ。何か(軟化)知らんがおもしろそうだっ はい。そうですねえ。
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くわしい説明はまた今度しますが、一定の歪みレートで止まったり、急に動いたり、とまるで断層が普段は止まっているのに、地震の時にだけ動くみたいっしょ。 |
沈み込み帯で言うならば、プレートがコンコンと沈み込んで日々歪みがたまっていきます。つまりバネが歪んでいって、ある時一気にすべります。
そー、これですよ。これ。早くこれをやりましょーよー(モール円はもういいから)。どーして早くこれを出さなかったんですかっ
そうですね。強さばかりが大事じゃないんですね。なぜ繰返し地震は起きるのかを考える上では摩擦が大事なんですね。ってなわけで、次回から摩擦力学に話題を移しましょう。
今回は下記の教科書を参考にさせていただきました。
ショルツ 著/柳谷 俊 訳 「地震と断層の力学」